爽怨

佐藤惣之助

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僕のさがす紅石楠の花は見つからない 雪にあをあをとかがやいてゐる嶽の突角にも ほのかな原林の枝や神經質に白い幹の間にも 又青と闇とが光線の瀧をあびてゐる谿間の崖にも 自然に生えてゐるといふ鮮紅色の花は見つからない 僕はなんとも知れない爽かな怨みにもえる まるで青青として情のふかい神話の妃が その頬を染める顏料が見つからずに うつうつと靜かな狂氣に氣がもつれてゆくやうに 僕はひとり岩の宮殿のならぶ 藏王山の影と陰との深みへ下りる。 (刈田岳にて)

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