懷古
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カーキいろの山脈の皺に夕映が滴り
空氣いろのつよい反映が加はつて
爽涼たる景觀の線を發してゐるのを見ては
どうして旅行者自身の精神を
鎭靜な香爐のやうに思念せずにはゐられよう
あの寛濶で古雅なひろがり!
未來への探照燈めいたうすら明り
そこに重重しくも老いたる地球の
時間の幕と波濤を重ね、かさね
青黒き深林帶へまで、又は谿の陰影へまで
ほがらかなる夕映から夜の色を塗りかへようとしてゐるのを
こんなにも寂默として見送り、見送り
自身が自然への雲翳として存在しては。
(藏王山にて)
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