月(『季節の馬車』収録・同題第2篇)
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ほんのりした空中の窓よ
あざやかな時間の運轉者が
せつせと月を洗ひ清めてゐるよ
旅行者よ、農夫よ、航海者よ
その頭の中に燈火をつけよ
日光をもたない囚人もぬす人も
いそいで美しい影の松火をともすがよい
月は自然の幽靈であるから
一つの眼のうちにこもつた幽情を
地上へ映しながら光と陰の文字をかくよ
きよらかな、清らかな
寂寥と光明の今宵の晴れた
ほんのりした空中の窓は開いてゐるよ。
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