月(『季節の馬車』収録・同題第5篇)
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月が娘らのやうに
あかるい海邊で化粧してゐるときは
わたしも喜んで感覺の扇をひらかう
しかし思はぬ木の間に月が出たときは
この村村の天然の釣ランプを
しづかに眺めるにとどめよう
田舍の月はひつそりとして
淋しい人は月の祭を好ましく思ひ
古い昔の世界に遊び
幽情をつくして端坐してゐよう
わたしはそこここと歩きながら
頭に幻をもてる人人にのみ
この清らかな光線の帽子をあづけよう。
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