祕密

千家元麿

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小供は眠る時 裸になつた嬉しさに 籠を飛び出した小鳥か 魔法の箱を飛び出した王子のやうに 家の中を非常な勢ひでかけ廻る。 襖でも壁でも何にでも頭でも手でも尻でもぶつけて 冷たい空氣にぢかに觸れた嬉しさにかけ廻る 母が小さな寢卷をもつてうしろから追ひかける。 裸になると小供は妖精のやうに痩せてゐる 追ひつめられて壁の隅に息が絶えたやうにひつついてゐる まるで小さく、うしろ向きで。 母は祕密を見せない樣に 小供をつかまへるとすばやく着物で包んでしまふ。 (一九一八、三、使命所載)

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