臆病な魂
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俺の飼犬が捕つたと知らせに來てくれたので
飛んで行つて犬殺しの箱車を覗いた時
毛臭い、暗い匂ひがプンとした。
兵隊が澤山通つたあとの獸の皮の匂ひのやうに
然うしてサラ/\サラ/\と毛の戰く音がした。
臆病な、早くも死を嗅ぎつけた魂の顫へる音だ。
大小、七八匹の犬が赤や黒や白いのが一つ隅つこにかたまつて
サラ/\サラ/\と毛の音を默つてふるはして居た。
淋しい日の目もくらい音だ。
別れの音だ。
俺の飼犬はゐなかつた。
助つた。
だが、如何うして俺は皆んな戸を開けて逃がして遣らなかつたらう。
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