白犬よ(『自分は見た』収録・同題第2篇)

千家元麿

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白犬よ 立たなくてもいゝ。其儘で居よ 俺を見て逃げなくてもいゝ そこは人の來ない空地だ。 御前の世界だ。 久しぶりの御天氣に 汝ものう/\してるな 腹もいゝと見えるね、 呑氣な白犬よ 安心して遊べ 人氣の無い空地の日和に そこはお前の世界だ 御前がさがしたうまい場所だ。 そこなら誰も來はしない 俺はそこを占領しようとは思は無い 歸つて來い、白犬よ そんなに殘り惜し相に去らなくてもいゝ 俺はいたづらはしない、大丈夫だ。だまし打ちはしない。 歸つて來い、 御前は逃げるね、口笛を吹いても よし、よし、俺は外へ行く 外へ行つていゝ所を御前のやうに目つける、 白犬よ 俺に構はず戻つて來い。

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