夜の太陽

千家元麿

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或夜 母の膝に小供は腰をかけて運動してゐる その顏は赤く輝いて笑つて居る うしろから小供にそつくりな母の顏も快く笑ふ 健康に滿ち溢れた力強い美しさ 赤い夜の光の艶々しさ 今は見え無い太陽が 夜を貫いてこゝに愛撫の手をのべる。 二人の首を飾るのもその輝きだ。 岩疊な顏に優しく溢れる血汐の喜び どこにも不健康のしるしは見られ無い 力を出しすぎる位 いくらでも笑ひつゞけてゐる小供と母の顏 樂々とした笑ひの中に肉が躍り 神々の喜びがゆらぐ 肉體を精神が活氣づける。 心靈の波が深いところから溢れて來るやうだ。 死せる者も甦らうとするやうに 此世に爭つて顏を出す 亂れて湧きかへる力強い心靈の波 波の中から此世に生れる歡喜の姿 赤き夜の光りに輝く 母と子の笑ひの美しさ (一九一七、一二、三一) (以下十三篇、使命所載)

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