千家元麿

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親鳥が巣にかへる時 待ち受けた小さい雛は黄い口を裂ける程開いて 夢かと許りに喜んで啼き、その喜びに死んでもいゝと喜んで啼き、 あらゆる感動の階音を刻んで啼き 全身を緊張させ、ふるはせ、未だ飛べない羽を空に向つて擴げ、 感謝と喜びを示し 親鳥から餌を與へて貰はうとする、 もどかし相なその姿は實に親しげだ。實に優しい その急がしい窒息する樣な聲も、 その待ち切れないで落着かぬ氣の狂ひ相な身ぶりも、 嬉しさに千切れるほどふるふ羽も 小さい全身に滿ちる喜びを有り餘る程現はし、 親しさをこぼし、然し餘り小さく、 あゝ餘りに小さくて その生きようとする樣は、人に哀れを起さしめる。 (一九一六、七、一五)

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