寶はあはれ碎けけり
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老いたる鍛冶のうたへる
寶はあはれ
碎けけり
さなり愛兒は
うせにけり
なにをかたみと
ながめつゝ
こひしき時を
忍ぶべき
ありし昔の
香ににほふ
薄はなぞめの
帶よけむ
麗はしかりし
黒髮の
かざしの紅き
珠よけむ
帶はあれども
老が身に
ひきまとふべき
すべもなし
珠はあれども
白髮に
うちかざすべき
すべもなし
ひとりやさしき
面影は
眼の底に
とゞまりて
あしたにもまた
ゆふべにも
われにともなふ
おもひあり
あゝたへがたき
くるしみに
おとろへはてつ
爐前に
仆れかなしむ
をりをりは
面影さへぞ
力なき
われ中槌を
うちふるひ
ほのほの前に
はげめばや
胸にうつりし
亡き人の
語らふごとく
見ゆるかな
あな面影の
わが胸に
活きて微笑む
たのしさは
やがてつとめを
いそしみて
かなしみに勝つ
生命なり
汗はこひしき
涙なり
勞働は活ける
思ひなり
いでやかひなの
折るゝまで
けふのつとめを
いそしまむ
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