巖頭にたちて
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思に堪へで磯の邊の
巖が上にたたずめば、
沈める海の底ふかく、
かくれて湧くや春の濤。
干潟にくぼむ蜑が子の
足占のあとにたたへつる
なごりに映る影みれば、
やつれにけりな、わがかほの。
耳をすませば、岩がくれ
薄き命の響きして、
風にわななく蘆の葉の
波間に沈む一ふしよ。
色めきそむる葦かびの
波に折らるる音をきけば、
浮世の海に漂へる
若き命のはかなしや。
春の潮に洗はれて、
沈む眞珠の色みれば、
淺ましき哉、苦き世の
涙に醉へる己が身は。
目をめぐらせば、海神の
沈める面に恐れあり。
手を拱ぬけば、吾胸の
底に知られぬ歎きあり。
髮吹きみだる葦の葉の
風のぬるみに顫きて、
凍りはてたる額には、
熱き血汐もかれてけり。
ふるふ睫毛に溢れては、
岩に碎くるわが涙、
落ちて潮に聲あるは、
底の珠とや沈むらめ。
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