郭公の賦
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民集ひて花鎭め、
春安かれと祈る日、
なぎつる白晝に青き海の
遠く鳴るを聞く如く、
あるは惱みの眞夜中、
望みの光りを得つる如く、
今かすかに、朗らに
み空に鳴けるは何の鳥ぞ。
あな來たりやほととぎす、
遠く、遠く、また遠く、
心をいざなふその音色は、
花ぞちらふ夕暮、
車駕はする佐保姫の
はかなき別れに恨み長う
血に鳴く鳥の身ならで、
いづれの胸より聞かれ得べき。
こかげいづる鶯を、
春の愛子にたとへば、
汝は寵なき鄙の少女、
行方の西を慕ひて、
薄月させる野の空、
はてなき天路を走り去りぬ。
ああ峠の幾つ越えて、
いましが願ひは癒えぬべしや。
悲しき哉、春の國、
移りゆく慌ただしさ、
みよ、青葉させる夏のうてな、
權威餘りにさかんに、
快樂夢と過ぎ去りぬ。
知らじや追懷おこるごとに、
悲みいよよ新たに
なが歌ますます清しからめ。
野邊の若樹の葉がくれ、
根白葦の笛吹きて、
みぎはの羊を呼ばふ子等も、
なが音夕に聞きては、
靜かなる世もみだれて、
そことしもなく歎きやせめ。
さてしも何の罪ぞや、
悲哀は一の誇りなれば。
快樂、希望、平和の
よき名弄ずる詩人よ、
なが卷あまりに貧しかりや、
われ疑ひのひとり兒、
和魂つとに煩らひ、
却りて落ち來る鳥の聲に、
言ひも知らぬ祕密と、
歌よりも深きこころ聞きぬ。
あな往きたりやほととぎす、
なが音再び流れず。
想像の遠く馳するところ、
靈鳥とはに死なめや。
寂しいかな空の上、
野こえ、山こえ、牧場こえて、
さらば、さらば、さらば鳥、
いましの行方へ魂魄まどふ。
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