破甕の賦
本文の表示
火の氣も絶えし廚に、
古き甕は碎けたり。
人のかこつ肌寒を
甕の身にも感ずるや。
古き甕は碎けたり、
また顏圓き童女の
白き腕に卷かれて、
行かめや、森の泉に。
くだけ散れる片われに、
窓より落つる光の
靜かに這ふを眺めて、
獨り思ひに耽りぬ。
渇く日誰か汝を
花の園にも交へめや。
くちびる燃ゆる折々、
掬みしは吾が生命なり。
清きものの脆かるは、
いにしへ人に聞きにき。
汝はた清かりき、
古き甕は碎けたり。
ああ土よりいでし人、
清き路を踏みし人、
そらの上を慕ふ人、
運命甕に似ざるや。
古き甕は碎けたり、
壞片を手に拾ひて、
心憂ひにえ堪へず、
暮れゆく日をも忘れぬ。
ログインすると、お気に入り登録や選集への追加ができます。
ログインすると、この作品に自分だけに見えるメモを残せます。
破甕の賦の談話
疑問や連想、ちょっとした読み方などを気軽に話せます。
まだ投稿はありません。
破甕の賦に寄せられた作品
詩から生まれた翻案・イラストや、朗読・解説などの関連リンクを持ち寄れます。
まだ投稿はありません。
批評・感想 0
作品の表現や構成を検討し、根拠を示しながら評価・講評する場所です。
まだ批評・講評はありません。
ログインすると批評・講評を書けます。