さざめ雪(『泣菫詩抄』収録)

薄田泣菫

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夕凍の 小野や、――伏目に さしぐみし 日はみまかりぬ。 左視右顧、 あな細雪、 常樂の 宮とめあぐみ、 ものうげの 旅や、はつはつ。 ここかしこ、 榛實の殼、 また乾反る 伏葉のみだれ、 小木の枝に 鵐竦みて、―― あな、ここは 悲びの邦、 鈍色の 住家ならまし。 ささやきつ、 また吐息しつ、 雪片の 歎きよ、――落ちて 葉に、石に 凭ひぬ、倦みぬ、 またたきて、 つとこそ消ぬれ、 いささかの 生命か、――濕ひ。

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