陽気な鬼

高見順

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茶碗のふちを箸でたたくな 餓鬼がやってくる 大事なごはんを餓鬼に食われる 幼児の私に祖母が言った 食後静かに横たわった 今は年老いた私のところへ 奇妙な鬼どもがやってきた なんの物音も立てはしなかったのに 外には雪が降っている 雪に足跡を残さず 足も濡らさずに庭から 私の部屋にはいってきた 小肥りした鬼どもは 顔の色艶もよく餓えてなどいない きっと私なんかよりずっといい暮らしをしているのだ 病み衰えた私のほうが餓鬼のようだ 何をしに来たのだろう 私を慰めに来たのか こんな陽気な鬼のほうが 骨と皮の餓鬼よりむしろ気味が悪い 私のベッドのまわりでツイストをはじめた 箸で私の肋骨をシロホンがわりにたたいて 音が悪いと 食道のない私の胸に耳を当てたりした するうちなににおびえたのか 鬼どもは一斉にキャーッと叫んで 部屋からあたふたと飛び出した 否 私から一目散に逃げ出した

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