ちやるめら
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薄日のかげも衰へて、
風冷やかに雲低き
鈍色空のゆふまぐれ、
はづれの辻のかたすみに、
ちやるめらの聲吹きおこる。
はじめの節のゆるやかに
心を誘ふ管の聲、
音は華やげるしらべかと
おもへば、あらず、せきあぐる
悲哀の曲の搖曳に、
みそらかけりて、あの山越えて、
越えてゆかまし夢の里。
よしや、わざくれ、身はうつし世の
榮にまぎるゝとがめびと、
有爲の奧山、路嶮し。
響はるかに鳴りわたる
おほまが時のうすあかり、
飴屋の笛にそゞろげる
子供心もおのづから
家路をおもふ二の聲に
夢の浮橋、あら、なつかしや
戀ひし、なつかし、虹の橋、
いつし、いづれの日に架けそめて、
涙の谷の中空を
雲につらぬるそり橋か。
細き金具の歌口に
かなしみあふれ、氣も萎えて、
折りまはしたる聲のはて、
忽ちくづれ調かはる
あゝ、ちやるめらの末の曲。
「やぶれ菅笠、しめ緒が切れて
さらにきもせず、すてもせず。」
人に思のなまなかあれば、
夢に現を代へ難き
――えい、なんとせう――あだ心。
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