不忍池

山之口貘

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池をたずねて来たのだが 芝生のうえにぼくは見たのだ このまっぴるまかれらはそこにいて まるでもう舶来みたいに これ見よがしの接吻をした ひとりは角帽 ひとりは緑の服なのだ 池はすでに戦争のおかげで 代用の田圃になりかわっていたのだが 接吻の影など映すてだてもなく 田圃のまんまひからびているのだ そこを出ると 出たところには わずかばかりの水がにじんでいて そこより外には行きどころもないのか 腹をひっくりかえして ボートの群が飢えているのだ

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