彼我

山之口貘

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その後その人に なんども逢ったのだが なんど逢っても逢うたんびに 金の催促をぼくにしないことはないのだ それでその日も 雨の池袋駅前で またかとおもって立ちすくんでいたのだが どうやらかれの 眼からのがれたのだ ぼくはそのままそこに小さくなりながら 外れた催促を見送るみたいに かれの姿を見送ったのだが かれはびしょぬれのこうもりをつぼめると わき眼もふらずに 顎を突き出しながら 駅の段々を のぼって行った

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