またはじまった

山之口貘

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かれらはぼくのぐるりを はなはだうるさく飛び廻った ぼくは腹立ちまぎれに ペンをそこにおいては かれらのことを一々 掌でもってたたきつぶし あるいは縁のうえにたたきのめした かれらは蚊であったり 足ながであったり蛾であったり こがね虫または兜虫であったりした ある夜 一匹の兜虫が 電気すたんどの笠にすがりついた ぼくはペンをおいて 兜虫のその首を掴み そのまま持って縁側に飛び出した するとよけいな口をきくもので またはじまったと女房が言った

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