士族

山之口貘

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往つたり來たりが能なのか 往つたばかりの筈なのに 季節顏してやつて來る それが 春や夏らの顏ならまだよいが 四季を三季にしたいくらゐ見るのもいやなその冬が 木の葉を食ひ食ひこちらを見い見いやつて來る 兩國橋を渡つて來る 來るのもそれはまだよいが 手を振り 睾丸振り まる裸 裸もまだよい あの食ひしんぼうが なにを季節顏して來るのであらうか 第一 ここは兩國ビルの空室である たまには食つても食ふめしが たまには見ても見る夢が 一から 十まで 借り物ばかり その他しばらく血の氣を染め忘れた 手首 足首 この首など あるにはあるが僕の物

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