昇天した歩兵

山之口貘

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村ではぼくのことを 疎開と呼んでいた 疎開はたばこに困ると 東の家をのぞいては たばこの葉っぱにありついて 米に困ると 西の家をのぞいて 闇の米にありついたりしたのだ その日も疎開は困り果てて かぼちゃの買い出しに出かけたのだが 途中で引き返して来ると 庭の片隅にこごみ 奉公袋に火をつけた 日本ではつまりその日から 補充兵役陸軍歩兵なんてのも 不要なものに なったからなのだ

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