かたち

横瀬夜雨

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浮べる雲の一綫は 碧きが中にたゆたひて 覆輪着けし銀の 天の島とも見ゆるかな 潮の底より月出でゝ 影、中空に盈ち來れば 浪靜かなる大和田の 月は舟とも見ゆるかな 舟か水門の舟ならば せめては長き秋の夜を 際なき水に流されて 灼る枕を浸さんに 毒ある鏃足に受けて 野べに嘯くことをすら 停められたる我なれば 唯舟こそは戀しけれ 負ひたる傷の深ければ 物に觸るゝを厭へども 寢ぬに綾無き幻の 花の象の眼に見えて 緑、紫、紅の 花は、電、空の虹 環りて、消えて、美しの 人の顏さへ浮き來るを 千草に渡る金風の 露吹きこぼす朝ぼらけ 花の苑生を眺むれば 長しとも思ふ命かな 今日も落ちたる花片の しめれる地に香を留めて   *   *     *   * 香取の海は川となりて 浪逆の浪はよも逆らじ 行かんか旅に病みぬとも 今は悲む夢も無し   ~~~~~~~

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