秋の朝(『晶子詩篇全集拾遺』収録)

与謝野晶子

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卓の上から二三輪 だりあの花の反りかへる 赤と金とのヂグザグが 針を並べた触をして、 きゆつと瞳を刺し通し、 朝のこころを慄はせる。 見返る角な鏡にも 赤と金とのヂグザグが 花の酒杯を尖らせて、 今日の命を吸へと云ふ。 それに書斎の片隅の 積んだ書物の間から、 夜の名残をただよはす 蔭に沈んで、寒さうに、 痩せた死人の頬を見せる 青いさびしい白菊が、 薬局で嗅ぐ風のよに 苦いかをりを立てるのは まだ覚め切らぬ来し方の わたしの夢の影であろ。

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