与謝野晶子

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秋は薄手の杯か、 ちんからりんと杯洗に触れて沈むよな虫が啼く。 秋は妹の日傘か、 きやしやな翡翠の柄の把手、 明るい黄色の日があたる。 さて、また、秋は廿二三の今様づくり、 青みを帯びたお納戸の著丈すらりと、 白茶地に金糸の多い色紙形、唐織の帯も眩く、 園遊会の片隅のいたや楓の蔭を行き、 少し伏目に、まつ白な菊の花壇をじつと見る。 それから後ろのわたしと顔を見合せて、 「まあ、いい所で」と走り寄り、 「どうしてそんなにお痩せだ」と、 十歳の時、別れた姉のやうな口振は、 優しい、優しい秋だこと。

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