或日の寂しさ

与謝野晶子

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門に立つのは うその苦学生、 うその廃兵、 うその主義者、志士、 馬車、自動車に乗るのは うその紳士、大臣、 うその貴婦人、レディイ、 それから、新聞を見れば うその裁判、 うその結婚、 さうして、うその教育。 浮世小路は繁けれど、 ついぞ真に行き遇はぬ。  今年畏くも御即位の大典を挙げさせ給ふ拾一月の一日に、此集の校正を終りぬ。読み返し行くに、愧かしきことのみ多き心の跡なれば、昭らかに和らぎたる新た代の御光の下には、ひときは出だし苦しき心地ぞする。晶子 晶子詩篇全集 終

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