或る若き女性に

与謝野晶子

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頼む男のありながら 添はれずと云ふ君を見て、 一所に泣くは易けれど、 泣いて添はれる由も無し。 何なぐさめて云はんにも 甲斐なき明日の見通され、 それと知る身は本意なくも うち黙すこそ苦しけれ。 片おもひとて恋は恋、 ひとり光れる宝玉を 君が抱きて悶ゆるも 人の羨む幸ながら、 海をよく知る船長は 早くも暴風を避くと云ひ、 賢き人は涙もて 身を浄むるを知ると云ふ。 君は何れを択ぶらん、 かく問ふことも我はせず、 うち黙すこそ苦しけれ。 君は何れを択ぶらん。

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