覇王樹と戦争

与謝野晶子

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シヤボテンの樹を眺むれば、 芽が出ようとも思はれぬ 意外な辺が裂け出して、 そして不思議な葉の上へ 新しい葉が伸びてゆく。 ああ戦争も芽である、 突発の芽である、 古い人間を破る 新しい人間の芽である。 シヤボテンの樹を眺むれば、 生血に餓ゑた怖ろしい 刺の陣をば張つて居る。 傷つけ合ふが樹の意志か、 いいえ、あくまで生きる為。 ああ今、欧洲の戦争で、 白人の悲壮な血から 自由と美の新芽が ずつとまた伸びようとして居る。 それから、 ここに日本人と戦つて居る、 日本人の生む芽は何だ。 ここに日本人も戦つて居る。

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