春が来た

与謝野晶子

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春が来た。 せまい庭にも日があたり、 張物板の紅絹のきれ、 立つ陽炎も身をそそる。 春が来た。 亜鉛の屋根に、ちよちよと、 妻に焦れてまんまろな ふくら雀もよい形。 春が来た。 遠い旅路の良人から 使に来たか、見に来たか、 わたしを泣かせに唯だ来たか。 春が来た。 朝の汁にきりきざむ 蕗の薹にも春が来た、 青いうれしい春が来た。

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