鳩と京之介

与謝野晶子

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秋の嵐が荒れだして、 どの街の木も横倒し。 屋根の瓦も、破風板も、 剥がれて紙のやうに飛ぶ。 おお、この荒れに、どの屋根で、 何に打たれて傷したか、 可愛いい一羽のしら鳩が 前の通りへ落ちて来た。 それと見るより八歳になる、 小さい、優しい、京之介、 嵐の中に駆け寄つて、 じつと両手で抱き上げた。 傷した鳩は背が少し うす桃色に染んでゐる。 それを眺めた京之介、 もう一ぱいに目がうるむ。 鳩を供れよと、口口に 腕白どもが呼ばはれど、 大人のやうに沈著いて、 頭を振つた京之介。

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