緋桜
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赤くぼかした八重ざくら、
その蔭ゆけば、ほんのりと、
歌舞伎芝居に見るやうな
江戸の明りが顔にさし、
ひと枝折れば、むすめ気の、
おもはゆながら、絃につれ、
何か一さし舞ひたけれ。
さてまた小雨ふりつづき、
目を泣き脹らす八重ざくら、
その散りがたの艶めけば、
豊國の絵にあるやうな、
繻子の黒味の落ちついた
昔の帯をきゆうと締め、
身もしなやかに眺めばや。
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