厭な日

与謝野晶子

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こんな日がある。厭な日だ。 わたしは唯だ一つの物として 地上に置かれてあるばかり、 何んの力もない、 何んの自由もない、 何んの思想もない。 なんだか云つてみたく、 なんだか動いてみたいと感じながら、 鳥の居ない籠のやうに わたしは全く空虚である。 あの希望はどうした、 あの思出はどうした。 手持不沙汰でゐるわたしを 人は呑気らしくも見て取らう、 また好いやうに解釈して 浮世ばなれがしたとも云ふであろ、 口の悪るい、噂の好きな人達は 衰へたとも伝へよう。 何んとでも言へ……とは思つてみるが、 それではわたしの気が済まぬ。

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