覉愁

与謝野晶子

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知らざりしかな、昨日まで、 わが悲みをわが物と。 あまりに君にかかはりて。 君の笑む日をまのあたり 巴里の街に見る我れの あはれ何とて寂しきか。 君が心は躍れども、 わが※かりし火は濡れて、 自らを泣く時のきぬ。 わが聞く楽はしほたれぬ、 わが見る薔薇はうす白し、 わが執る酒は酢に似たり。 ああ、わが心已む間なく、 東の空にとどめこし 我子の上に帰りゆく。

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