同じ時

与謝野晶子

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黒く大いなる起重機 我が五階の前に立ち塞がり、 その下に数町離れて 沖に掛かれる汽船の灯 黄菊の花を並ぶ。 税関の彼方、 桟橋に寄る浪のたぶたぶと 折折に鳴りて白し。 いづこの酒場の窓よりぞ、 ギタルに合はする船人の唄 秋の夜風に混り、 波止場に沿ふ散歩道は 落葉したる木立の幹に 海の反射淡く残りぬ。 うら寒し、はるばる来つる アムステルダムの一夜。

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