故郷

与謝野晶子

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堺の街の妙国寺、 その門前の庖丁屋の 浅葱納簾の間から 光る刄物のかなしさか。 御寺の庭の塀の内、 鳥の尾のよにやはらかな 青い芽をふく蘇鉄をば 立つて見上げたかなしさか。 御堂の前の十の墓、 仏蘭西船に斬り入つた 重い科ゆゑ死んだ人、 その思出のかなしさか。 いいえ、それではありませぬ。 生れ故郷に来は来たが、 親の無い身は巡礼の さびしい気持になりました。

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