桃の花(『晶子詩篇全集』収録・同題第2篇)
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すくすく伸びた枝毎に
円くふくらむ好い蕾。
若い健気な創造の
力に満ちた桃の花。
この世紀から改まる
女ごころの譬にも
私は引かう、華やかに
この美くしい桃の花。
ひと目見るなり、太陽も、
風も、空気も、人の頬も、
さつと真赤に酔はされる
愛と匂ひの桃の花。
女の明日の※情が
世をば平和にする如く、
今日の世界を三月の
絶頂に置く桃の花。
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