夏よ

与謝野晶子

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夏、真赤な裸をした夏、 おまへは何と云ふ強い力で わたしを圧へつけるのか。 おまへに抵抗するために、 わたしは今、 冬から春の間に貯めた 命の力を強く強く使はされる。 夏、おまへは現実の中の ※し切つた意志だ。 わたしはおまへに負けない、 わたしはおまへを取入れよう、 おまへに騎つて行かう、 太陽の使、真昼の霊、 涙と影を踏みにじる力者。 夏、おまへに由つてわたしは今、 特別な昂奮が 偉大な情※と怖しい直覚とを以て わたしの脈管に流れるのを感じる。 なんと云ふ神神しい感興、 おお、※した砂を踏んで行かう。

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