和蘭陀の秋

与謝野晶子

タグを編集・提案

作品の主題・モチーフなど、対象に固有の情報を登録してください。年代・形式・表記・文学運動などの共通分類は登録できません。会員タグの追加と、正式タグの削除は、5人の支持で自動反映されます。

ログインするとタグの追加・削除を提案できます。

秋の日が―― 旅人の身につまされやすい 秋の日が夕となり、 薄むらさきに煙つた街の 高い家と家との間に、 今、太陽が 万年青の果のやうに真紅に しつとりと濡れて落ちて行く。 反対な側の屋根の上には、 港の船の帆ばしらが どれも色硝子の棒を立て並べ、 そのなかに港の波が 幻惑の彩色を打混ぜて ぎらぎらとモネの絵のやうに光る。 よく見ると、その波の半は 無数の帆ばしらの尖から翻へる 細長い藍色の旗である。 あなた、窓へ来て御覧なさい、 手紙を書くのは後にしませう、 まあ、この和蘭陀の海の 美くしい入日。 わたし達は、まだ幸ひに若くて、 かうして、アムステルダムのホテルの 五階の窓に顔を並べて、 この佳い入日を眺めてゐるのですね。 と云つて、 明日わたし達が此処を立つてしまつたら、 復と此の港が見られませうか。 あれ、直ぐ窓の下の通りに、 猩猩緋の上衣を黒の上に著た 一隊の男の児の行列、 何と云ふ可愛いい 小学の制服なんでせう。 ああ、東京の子供達は どうしてゐるでせう。

ログインすると、この作品に自分だけに見えるメモを残せます。

批評・感想 0

作品の表現や構成を検討し、根拠を示しながら評価・講評する場所です。

まだ批評・講評はありません。

和蘭陀の秋の談話

疑問や連想、ちょっとした読み方などを気軽に話せます。

まだ投稿はありません。

話題を投稿する

和蘭陀の秋に寄せられた作品

詩から生まれた翻案・イラストや、朗読・解説などの関連リンクを持ち寄れます。

まだ投稿はありません。

この詩に作品を寄せる