涼夜(『晶子詩篇全集』収録・同題第2篇)

与謝野晶子

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場末の寄席のさびしさは 夏の夜ながら秋げしき。 枯れた蓬の細茎を 風の吹くよな三味線に 曲弾の音のはらはらと 螽斯の雨が降りかかる。 寄席の手前の枳殻垣、 わたしは一人、灯の暗い、 狭い湯殿で湯をつかひ、 髪を洗へば夜が更ける。

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