市中沙塵
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柳の青む頃ながら、
二月の風は殺気だち、
都の街の其処ここに
砂の毒瓦斯、砂の灰、
砂の地雷を噴き上げる。
よろよろとして、濠端に
山高帽を抑へたる
洋服づれの逃げ足の
操人形に似る可笑しさを、
外目に笑ふひまも無く、
さと我顔に吹きつくる
痛き飛礫に目ふさげば、
軽き眩暈に身は傾ぎ、
思はずにじむ涙さへ
砂の音して、あぢきなし。
二月の風の憎きかな、
乱るる裾は手に取れど、
髪も袂も鍋鶴の
灰色したる心地して、
砂の煙に羽羽たきぬ。
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