わが庭

与謝野晶子

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おお咲いた、ダリヤの花が咲いた、 明るい朱に、紫に、冴えた黄金に。 破れた障子をすつかりお開け、 思ひがけない幸福が来たやうに。 黒ずんだ緑に、灰がかつた青、 陰気な常盤木ばかりが立て込んで 春と云ふ日を知らなんだ庭へ、 永い冬から一足飛びに夏が来た。 それも遅れて七月に。 まあ、うれしい、 ダリヤよ、 わたしは思はず両手をおまへに差延べる。 この開いて尖つた白い指を 何と見る、ダリヤよ。 しかし、もう、わたしの目には ダリヤもない、指もない、 唯だ光と、※と、匂ひと、楽欲とに 眩暈して慄へた わたしの心の花の象があるばかり。

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