闇に釣る船

与謝野晶子

タグを編集・提案

作品の主題・モチーフなど、対象に固有の情報を登録してください。年代・形式・表記・文学運動などの共通分類は登録できません。会員タグの追加と、正式タグの削除は、5人の支持で自動反映されます。

ログインするとタグの追加・削除を提案できます。

真黒な夜の海で わたしは一人釣つてゐる。 空には嵐が吼え、 四方には渦が鳴る。 細い竿の割に 可なり沢山に釣れた。 小さな船の中七分通り 光る、光る、銀白の魚が。 けれど、鉤を離すと、直ぐ、 どの魚もみんな死つてしまふ。 わたしの釣らうとするのは こんなんぢやない、決して。 わたしは知つてゐる、わたしの船が だんだんと沖へ流れてゆくことを、 そして海がだんだんと 深く険しくなつてゆくことを。 そして、わたしの欲しいと思ふ 不思議な命の魚は どうやら、わたしの糸のとどかない 底の底を泳いでゐる。 わたしは夜明までに 是非とも其魚が釣りたい。 もう糸では間に合はぬ、 わたしは身を跳らして掴まう。 あれ、見知らぬ船が通る…… わたしは慄く…… もしや、あの船が先きに 底の人魚を釣つたのぢやないか。

ログインすると、この作品に自分だけに見えるメモを残せます。

批評・感想 0

作品の表現や構成を検討し、根拠を示しながら評価・講評する場所です。

まだ批評・講評はありません。

闇に釣る船の談話

疑問や連想、ちょっとした読み方などを気軽に話せます。

まだ投稿はありません。

話題を投稿する

闇に釣る船に寄せられた作品

詩から生まれた翻案・イラストや、朗読・解説などの関連リンクを持ち寄れます。

まだ投稿はありません。

この詩に作品を寄せる