加瀬の山から

福田正夫

タグを編集・提案

作品の主題・モチーフなど、対象に固有の情報を登録してください。年代・形式・表記・文学運動などの共通分類は登録できません。会員タグの追加と、正式タグの削除は、5人の支持で自動反映されます。

ログインするとタグの追加・削除を提案できます。

唯見れば僅六十尺の山ながら、 登れば橫濱も見える、 遙に品川の海も霞む。 それは東京と横濱との間、 武藏野の一部に介在する小さな突起で、 丘とも見えない小さな山だ。 自分は二百餘人の子供等と共に、 萬歲を唱へながらその山の高地を占領した、 そして秋のさはやかな山氣を感じながらしばし眺望 の中に沒頭した。 子供等のいくたりかはよるこび、 まだ見ぬ海のかすかに見えるのを望みながら、 またわが里の家々を眺:めながら、 『實に高いなあ、實にいゝけしきだなあ 。』と嘆稱 する。 實際に、 高いところから低いところを見ない平原の子供等に とつて、 このはじめての眺望は、 深い驚異と憧憬を感ぜしめたのだ。 子供等が更に、 『富士の山に登つたらどうだらう。』といふ言葉を發し た時、 自分は遙に西にかすめる雲を指さし、 『ふだん富士山はあの雲の上あたりに見える、 しかし世界には富士より高い山が澤山ある、』とこた へると、 子供等の幼年者はふしぎさうな顏をしてうなづき、 其他ばぢつと雲をみつめて立つてゐた。 自分はぢつと子供等の純な愛を感じながら、 『頭を雲の上に出し......... 。』と富士山のうたを唱ひ出す と子供等はあとについて大聲に唱ひ出した、 そしてそれが秋の空へひろがつて行つた、 自分はかぎりないよろこびを感じ、 共に共に永くあとを引いて山氣の中に唱ひつづけた。

ログインすると、この作品に自分だけに見えるメモを残せます。

批評・感想 0

作品の表現や構成を検討し、根拠を示しながら評価・講評する場所です。

まだ批評・講評はありません。

加瀬の山からの談話

疑問や連想、ちょっとした読み方などを気軽に話せます。

まだ投稿はありません。

話題を投稿する

加瀬の山からに寄せられた作品

詩から生まれた翻案・イラストや、朗読・解説などの関連リンクを持ち寄れます。

まだ投稿はありません。

この詩に作品を寄せる