山上の火よ(九月)
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山上の火よ
爆發する淺間よ
灰色なる暴風よ
流るる如く梢を靡かせる山林よ
をやみない流動の聲よ
君は絶えず爆發する
唸る
電を閃めかす
東京の靜かな街の十文字に自分がふと立停るとき
四方に電車が別れ別れに遠去るとき
自分は君を思うて嘆息する
憧憬する
ああどこにああいふ強い力が君にあるか
爆發せよ
君よ
街を人は歩いてゐる
煙草屋の店先に三四人ひと集りしてゐる
おお爆發せよ
君よ
灰色の暴風を吹き給へ
おお自分は嵐を讃美する
都會の屋根が大雷雨の下で
青くひつそりとしてゐるのが好きだ
暗い中からぴかりとするのが好きだ
ああちぢこまれる人間よ
息を殺してゐる人間よ
目に見えない力が
僕等の眼の前に迫つてゐるのだ
暗闇にさして來る大潮のやうに
この日中に裸出してゐるのだ
おお空中よ
埃で眞白い
この中に嵐が潜んでゐる
爆發がひそんでゐる
全世界の祕密が常に隱れてゐる
自分はその大道を大跨で濶歩してゐる
どしりどしりと歩いてゐる
そして腹の底からわなないて來る歌を感ずるのだ
勢ひのよい眞に微妙な歌を感ずるのだ
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