春の感情
本文の表示
ふらんすからくる烟草のやにのにほひのやうだ
そのにほひをかいでゐると氣がうつとりとする
うれはしい かなしい さまざまのいりこみたる空の感情
つめたい銀いろの小鳥のなきごゑ
春がくるときのよろこびは
あらゆるひとのいのちをふきならす笛のひびきのやうだ
ふるへる めづらしい野路のくさばな
おもたく雨にぬれた空氣の中にひろがるひとつの音色
なやましき女のなきごゑはそこにもきこえて
春はしつとりとふくらんでくるやうだ。
春としなれば山奧のふかい森の中でも
くされた木株の中でもうごめくみみずのやうに
私のたましひはぞくぞくとして菌を吹き出す
たとへば毒だけ へびだけ べにひめぢのやうなもの
かかる菌の類はあやしげなる色香をはなちて
ひねもすさびしげに匂つてゐる。
春がくる 春がくる
春がくるときのよろこびは あらゆるひとのいのちを吹きならす笛のひびきのやうだ
そこにもここにも
ぞくぞくとしてふきだす菌 毒だけ
また藪かげに生えてほのかに光るべにひめぢの類。
ログインすると、お気に入り登録や選集への追加ができます。
ログインすると、この作品に自分だけに見えるメモを残せます。
春の感情の談話
疑問や連想、ちょっとした読み方などを気軽に話せます。
まだ投稿はありません。
春の感情に寄せられた作品
詩から生まれた翻案・イラストや、朗読・解説などの関連リンクを持ち寄れます。
まだ投稿はありません。
批評・感想 0
作品から読み取ったことや、自分の中に生まれた感覚をまとまった文章で残す場所です。
まだ解釈・感想はありません。
ログインすると解釈・感想を書けます。