漂泊者の歌
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日は斷崖の上に登り
憂ひは陸橋の下を低く歩めり。
無限に遠き空の彼方
續ける鐵路の柵の背後に
一つの寂しき影は漂ふ。
ああ汝 漂泊者!
過去より來りて未來を過ぎ
久遠の郷愁を追ひ行くもの。
いかなれば蹌爾として
時計の如くに憂ひ歩むぞ。
石もて蛇を殺すごとく
一つの輪𢌞を斷絶して
意志なき寂寥を蹈み切れかし。
ああ 惡魔よりも孤獨にして
汝は氷霜の冬に耐へたるかな!
かつて何物をも信ずることなく
汝の信ずるところに憤怒を知れり。
かつて欲情の否定を知らず
汝の欲情するものを彈劾せり。
いかなればまた愁ひ疲れて
やさしく抱かれ接吻する者の家に歸らん。
かつて何物をも汝は愛せず
何物もまたかつて汝を愛せざるべし。
ああ汝 寂寥の人
悲しき落日の坂を登りて
意志なき斷崖を漂泊ひ行けど
いづこに家郷はあらざるべし。
汝の家郷は有らざるべし!
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