告別

萩原朔太郎

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汽車は出發せんと欲し 汽罐に石炭は積まれたり。 いま遠き信號燈と鐵路の向うへ 汽車は國境を越え行かんとす。 人のいかなる愛着もて かくも機關車の火力されたる 烈しき熱情をなだめ得んや。 驛路に見送る人人よ 悲しみの底に齒がみしつつ 告別の傷みに破る勿れ。 汽車は出發せんと欲して すさまじく蒸氣を噴き出し 裂けたる如くに吠え叫び 汽笛を鳴らし吹き鳴らせり。

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