最も原始的な情緒

萩原朔太郎

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この密林の奧ふかくに おほきな護謨葉樹のしげれるさまは ふしぎな象の耳のやうだ。 薄闇の濕地にかげをひいて ぞくぞくと這へる羊齒植物 爬蟲類 蛇 とかげ ゐもり 蛙 さんしようをの類。 白晝のかなしい思慕から なにをあだむが追憶したか 原始の情緒は雲のやうで むげんにいとしい愛のやうで はるかな記憶の彼岸にうかんで とらへどころもありはしない。

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