星眸

蒲原有明

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昨日緑の蔭にして ふたたび君と相見てき、 こはゆくりなさそのままに 邂逅ひつつ別れけり。 胸には淡く殘るとも 面影の花朽ちざらむ、 わかれきてこそいや慕へ、 名をだにしらぬ君なれど。 君星眸のをやみなさ、―― 雲にあふれて雲をいで、 光は裂けて榮え顫へ 野に野の草をわたるごと。 君星眸のをやみなさ、 たまたまやどすその影の 胸になやみの戸を照らし ふかき園生の香に入れり。 夜こそ明けけれわかやかに、 ああ歡樂の日に遇はば、 高きその日は見ずもあれ、 光に添はむわがねがひ。 馨香はされど驚きて などかはそむく戀の花、 君おもかげの花なれど あまりわびしき夢のかげ。 戀のながれのわれや水、 ながれて底に沈めども、 水泡と浮び消えもせで かの星眸のなほも殘れる。

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