秋山の歌
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秋山のなぞへの薄ひとつらね揺りかがやけり。秋山の名も無き山の草山の山の端薄、その穂の薄揺りかがやけり。この夕、出でて見て、岨ゆ見て、丸木橋妻と渡りて、また見ればまだかがやけり。その薄刈る人もあり。また負ひて下り来るもあり。下りて来て、行きすぎざまにさわさわと背見せゆく、さわさわの背の薄またかがやけり。雲白くうかべる峡の日屯の空間の中、こまごまと飛べる羽虫も、よく見れば一つ一つに命あり、舞ひ立ち光る。閑かなり、ただ安らなり。まだ深き日のあたりなる。暑からず、寒くしもなく、まだ温き日のかげりなる。湯どころのうしろの山の秋山のその柔かき草山のこのもかのもにさわさわと音する薄、穂薄の、今日来て見れば、揺りかがやけり。あなあはれ、我も見て、妻も出て、二人ながむるさわさわ薄、そのさわさわ薄。
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