紅火
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夜なり。二人、臨終の寝椅子に青み、むかひゐて
毒酒を杯に。紅の燭こそ点せ。まのあたり、
無言に凝視め赫耀の波動を聴けば、夢心地、
浄華のわかさ、身も霊も紅く縺るる赤熱よ。
火は葡萄染の深帳、花毛氈や、銀の籠、
また、羅のころも、緑髪、わかき瞳に炎上の
匂香熱く、『時』の呼吸、瞬き燻る『追懐よ。
『恋』は華厳の寂寞に蒸し照る空気うち煽る。
時経ぬ唇は『楽欲』の渇に焦れ、心の臓
喘げば、紅火『煩悩』の血彩薫ずる眩暈よ。
朱の蝋涙は毒杯の紫擾し照り雫く。
今こそ蝋は琺瑯に炎のころもひき纏ひ、
音なく溶くる白熱に爛れ艶だつ弱ごころ、
無言に泣けば『新生』の黄金光ぞ燃えあがる。
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